理屈だけじゃあダメだ!東洋思想で三才を教えているから実証的

生命の活動を支える正経12経の中で陰経が主なる活動を担当していると説明しました。だからといって、陰経6経のひとつひとつについて事細かに理解する必要はありません。

ここでは、陰経6経について、それぞれの働きの対象で大きく3つに分けて考えてみましょう。で、その3つとは「気」「血」そして「バランス」です。

生命の働きを説明する際、東洋医学で頻繁に用いられる用語は「気」「血」そして「水」というのが定番ですが、ここではもっと古典的な概念に戻って簡単な理解を提案します。

気は東洋思想の根本をなしている重要な概念ですので、別に分けて少し詳しく説明したいと思いますので、「そもそも東洋思想でいう気とは」をご参照ください。

それで、もう一つの血とは気以外の目に見れる身体の物質構造のすべてを指します。身体の表面の皮膚も血の変化したものだと理解します。血液が流れていますが、これは液体状の血という意味ですね。

残るのはバランスです。現代的な言葉で言えば、ホメオスタシスという用語がそれに当たるかも知れません。生物は一定の形状を保持しようとする働きがあります。病気が治癒するのも根本的にはこの働きが関与しています。この点、東洋と西洋は一致しているのですね。

それでは、気に関係する経絡の名前を挙げてみます。「肺」、「脾」、そして「腎」の3つということになります。これらの名前が内蔵の名前に用いられていますが、もちろん意味はまったく異なります。

肺経は胸に収まっている肺臓を中心にして働きますが、単純な呼吸の問題ではありません。肺経は息として取り込んだ気を全身に巡らせて、全身の呼吸までを範囲にして働きます。今流行りのミトコンドリアの活性も肺経の働きとして捉えられてきたことです。

そして脾は簡単に言えば、消化の働きのことです。これは食べたものを分解し、気と血の元を取り出します。そしてそれぞれを次の工程に送り出す役割をもっています。

なので脾が弱ってくると、食欲が失くなったり、消化不良を起こしたりします。脾は食物から後天の気を取り込むのが仕事ですから、これが首尾よく機能しないと先天の気を消耗することになってさまざまな症状を発するのです。

そして気の働きで全身を支えているのが腎です。気を血の中に取り込んで全身に配送する役割をしています。その際に血の中の汚れを気に交換する仕事も受け持つことになります。

気疲れなどということがありますが、このような症状が出てくるのは腎に気が足りなくなるか、腎の能力を超えた処理をさせているかということによります。

次に血の陰経を挙げましょう。血の陰蔵は「肝」と「心包」ということになり2つあります。これらは物としての身体を支える働きを担っています。

肝は取り込まれた血を蓄える働きと説明されます。脾によって分解された血を蓄え、必要に応じて全身の血を供給するための貯蔵庫として働いています。

実際、肝の中心は肝臓ですが、ここでグリコーゲンが蓄えられ、血中に分泌し全身のエネルギーを送り出します。東洋医学の場合、全身の細胞の隅々まで肝の機能があることを前提にします。

細胞ごとに内部にエネルギーを留保していますが、これも東洋医学では肝の機能として理解します。細胞内のエネルギーを代謝させるカギは酸素の供給ですから、呼吸を工夫するとダイエットに効果が上がるのは当然ということになります。

肝のために心包が働いています。つまりポンプ作用で全身に血液を巡らせているのです。通念としては心臓がその役割を担っていると限定しがちですが、心包には血管も含まれます。このように陰経が生命の全体を支えています。