知らないとコワイ!鍼灸治療と治療師の見分け方を知って極楽気分

東洋医学に分類される漢方薬と鍼灸の2つは決して時代遅れのものではないことに納得いただけたでしょうか。これらは穏やかな効き目と、西洋医学では手の届いていない部分に対して大きく可能性を開くものとして、再度脚光を浴びつつあります。

私たちが漢方薬を使用する場合は、漢方薬を扱っている病院へ出向くか、あるいは最寄りの漢方薬局で相談することになります。漢方薬局は専門家が自前で調合してくれます。

そのような専門薬局では自分の症状と体質に合わせて、調合してもらえるのでそれなりに効果ができるでしょう。ただ薬局ごとに考え方がさまざまであり調剤師の技術に負うところが大きくなります。

料金も様々で、だいたい1ヶ月で数万円程度になるようです。私の経験では2週間分で3万円くらい払った記憶があります。本格的なものになると自分で煮だして飲む形態になりますが、苦くてだめという人もいるかもしれません。

一方の鍼灸もよく似た状況にあるといえます。大病院でも鍼灸治療を取り入れだしている事実もありますが、ほとんどは個人経営による鍼灸治療院を利用することになります。

鍼灸治療師は国家資格です。ですから国家資格を持っている治療師であることを確認するのはひとつの目安になると思います。だだ、それだけが頼りになるとは思えないのは、国家資格が治療師の技術力を約束しているのではないからです。

これらの東洋医学の専門家を見分けるために、私たちができることがあります。それは専門家が私たちの症状についてしっかりと聞いてくれるかということ。経験上、症状についてしっかりと話をしてくれる治療師は腕もあるといえそうだからです。

中には黙って座ればピタリと…治療を始める専門家もいますが、世の中には期待するほど天才の数が多くないようで、あまりよい思い出にはなりませんでした。

ということで鍼灸治療院を選びますが、まだ安心してはいけませんよ。知り合いは適当に治療を受けて、座る度に腰が痛むようになるという苦い経験をしました。時として過度の治療で神経を傷つける事態を招きます。

事前に電話をして、予約受付の際の対応をよく確認します。症状に対して積極的な関心を寄せてくれるか、質問に対してきちんと答えてくれるかがポイントになります。

鍼にも何種類かあります。個人事にそれぞれ鍼を用意する治療院もあり、使い捨ての鍼を使うところもあります。どのような鍼を使うのかを電話の際に確認しましょう。

鍼と灸の使い分けのひとつの目安を知っていると施術を受けている時の参考になるでしょう。一般的にお灸の方が鍼より力が強いと考えられています。ですからお灸で治療して、鍼で調整するという手順になります。

身体が予想外に弱っていて、お灸だと内部に炎症を起こしたり、むしろ症状が重くなる場合もありますが、その場合は鍼を当てる治療が中心になるはずです。体力が戻ってきた時点でお灸を用います。

まず、鍼灸治療で痛い、熱いはないはずです。痛いと訴えてもかまわず治療を続ける鍼灸師を経験したこともありますが、早々に治療を止めさせて退室しました。

お灸は熱くなるまで辛抱してはいけません。火傷によって良い効果があるはずがないのです。温かくなってきたら治療師に報せましょう。昔は腰や肩にお灸の痕を残した年寄りを見かけることがありました。

火傷の残るお灸で治療するのは、お灸が民間治療に過ぎなかった時代の名残りだと思われます。また齢を取ると肌の感覚が鈍くなっていたりしますので、それも大きく影響しているかもしれません。

ここでの知識を活用して、是非専門家の技術をご利用ください。ただ、よく気を付けて治療師を選んでくださいね。

賢く使い分けよう!標治と本治の違いから手当てを使い分けよう

東洋医学ではどのように症状に対処するかを区別して標治と本治との2つに分けて考える伝統があります。このように区別することで治療全体の品質を管理しようという考え方になっています。

それぞれを簡単に説明すると、標治とは表面上に現れている症状をそのまま抑えようとする治療のことです。それに対して本治は、症状を追うのではなく、原因の部分にアプローチしようとすることです。

標治だけでは、頭が痛いから痛み止めを服用する行為とあまり変わりありません。症状が消えても原因は解決していませんから、時間をおいて再び同じ症状か、より酷い症状に悩まされることになるでしょう。

それではと、本治に集中すると今度は症状が改善されるまでに時間が酷くかかってしまいかねません。つまりしばらく効き目を感じないのに、治療だけを継続しなければならないのです。

これもたまったものではありませんよね。専門家に尋ねると、どちらかではなく、どちらも手を入れるとのこと。それを聞いて安心した覚えがあります。

専門知識がなくても、東洋医学に沿った手当の方法をこのブログで紹介していますが、その方法は標治と本治の両方に関わる手法になっています。残念ながら、この方法を漢方医学では案内できない約束になっています。

東洋医学の側面としてあくまでも専門家の治療として成立し研究されてきた歴史があり、特に現代の法律が門外秘であることを要求している事情があります。

つまり自己メンテナンスをどのようにすれば、効果的かを説明することは専門家の治療範囲外のことになります。その結果、整体師でも自分のケアができないという、なんだか変な事態もあるのです。

自己メンテナンスは治療行為ではありません。呼吸の仕方を利用しますが、呼吸自体は誰でもしているからです。手で患部に手当しますが、それは子どもでも可能な行為です。

毎日の食事管理をしますが、食事を考えるのに資格は不要です。専門知識がなくてもご飯を食べますし、消化もします。これらのことはどれも日常生活の上での技能です。だれにでも可能です。

ただし、他人に対して治療行為をしてお金を集めるような不道徳さは恥ずかしい行為だと知っておきましょう。下手をすると違法行為になりかねません。

東洋医学的に正しい自己メンテナンスと私たちが考えることには3つの技法が中心になっています。それが呼吸、運動、食事です。いままでやったことをするのではなく、いままでやってきている行為の品質を変えるのです。

まず、呼吸は深い呼吸をゆっくり、ゆったりとすることです。お腹を両手で抱えるように支えて、ゆっくりと息を出し入れします。お腹で手のひらをしっかりと感じて内臓が寄りかかるようにイメージします。このように呼吸することを息を通すと呼んだりします。

運動は走り回ることでは決してありません。呼吸に合わせて身体が動くこと、動かすことです。生まれたての赤ん坊の様子を思い出してみましょう。赤ん坊の身体は呼吸に合わせて全体が膨らんだり縮んだりしていますよね。それがここでいう運動です。

手を使って身体の各部位の運動を支援します。両手で包み込むように支えてゆっくりと手を動かします。これもできる限り小さな動きを心がけて部位の感覚が戻るのを誘います。

食事は健康のバロメータです。健康で生きる力が強いと食事が進んで排泄も滞りありません。内部に問題が生じると食欲が減退するので、休養のタイミングと考えます。

なにより自分の身体の様子を感じ取る感覚を頼りにしていますので、他人の身体の様子を感じるのが難しいように、これ以上のことは専門家に相談するのが賢明です。

夏バテかも、そう思ったときに手入れしたい東洋医学のこんな方法

夏バテは困りものの代表格に位置する体調不良のひとつかも知れません。それは春先から始まり梅雨にはいる頃から少しずつ、なんだか身体が辛くなり、秋を目の前にして寝込んでしまうことも。

楽しみにしていた夏を当然満喫できないですし、街なかは夏を楽しむ人達であふれるのを眺めて、みんなが集まるいろいろなイベントもキャンセルしなければならないことも。

何よりも毎日の学習や業務に集中することができなくなるのが辛い結果だといえそうです。これが夏バテに悩む私たち共通の思いだと推察します。

夏バテの症状はさまざまに訴えられますが、大体は4つぐらいに分類できそうです。それは冷え性、だるさ、のぼせ、食欲不振となります。

冷え性は夏場に限らず、四季を通して冷えてしまう方もいらっしゃって夏バテとは関係がないように思われますかも知れません。しかし冷え性の正体は夏場に明らかになるという意味で、夏バテのひとつとして考えるのが適当でしょう。

代表的な症状であるだるさは地味に辛い。朝からやる気がでないと訴える若者が増えてきたのと、冷房が辛いと訴える若者が増えてきたのとは無関係ではないはずです。

のぼせというと、顔だけがほてって身体が冷えるというのが主な症状です。つまりこれも冷え性の変化したバリエーションのひとつです。この症状があるということは、肩こりもかなり酷いのではないでしょうか。

のぼせは上下の経脈が上手く通じていないことが原因ですが、夏バテのときに激しく症状を感じるので、身体が夏バテしている症状のひとつに加えました。

そして昔からお馴染みの症状が、食欲不振という状況。夏場はそうめんを専門に食べていたという年配の方も少なくないに違いありません。

そもそも人間は季節の影響を受けて、身体の働きの程度を調整するようにできています。これが東洋医学的な見方の特徴です。寒くなると身体を温めるために身体が備え、暑くなる時は、身体を冷ますように身体が機能を調整します。

四季の移り変わりがはっきりしている日本は、決して身体に優しい風土ではありません。24節季の立夏(5月初旬)はまだ夏というには季節感がずれていると言われますが、この時期から身体は暑くなる準備を始めているのです。

そして暑くなる夏の準備は私たちが気付かない間に身体の内部で進行していきます。余分な熱を溜め込まないように経路を広くしめぐりを良くし、同時に熱の発生を抑えるように調節されます。

残念ながら調整失敗すると、夏バテになってしまいます。症状は既に述べた通りですが、内部ではどのようなことになっているのかを理解することが大切です。

まずは身体で作り出した熱を上手く外に排出できなくなります。これは夏場に限りません。普段から呼吸を意識しているわけではありませんから、排出機能が十全に働いていないと考えるべきです。

そうすると頭に熱がこもってしまいます。この時点でのぼせの予備軍に入隊しているわけです。暑さでぼんやりしてしまうようなら、既に発症しているといえそうです。

それを検知すると熱生産を控える動きを強めます。すると外部の暑さに関わらず冷や汗をかいたり、身体は冷えて冷たくなります。一般的な冷え性ですね。

内部の活動が低下すると、生命力そのものに影響を及ぼして、生命を支える力が減退します。わかりやすく言えば、免疫力の低下を起こして発熱などを伴う感染症を呼びこむ体質になってしまいます。

対処はやはり、日々のケアが大切です。中心課題はめぐりを付けて、消化力のアップを図りましょう。方法は深いゆっくりした呼吸をしながら、手首と足の親指の付け根をケアしてみましょう。

疲れを残さない毎日のために、自分でできる簡単な手当てをマスタ

快眠が休息の基本ですよね。ただこれを難しく感じる人が思っている以上に多くいらっしゃるようで、そのような人にとってはゆっくり眠ること事態が苦行に近くなるともいわれます。

寝付きが悪いのは当たり前。1時間や2時間は布団の中で右を向いたり左を向いたりという方の相談を受けたこともありますし、翌朝に疲れが残るという方が多いようです。

よく眠れないとおっしゃる方々に共通しているのは、いつも活動的なのですが、繊細でストレスの多い日常生活を頑張ってらっしゃるというパターンです。

活動と休息のバランスを考えるとどうしても夜はゆっくりと、できればぐっすりと眠りたい。しかし私たちは学校教育を通じて、休息の大切さや具体的で効果的な方法をほとんど教えられてきませんでした。

ブレーキのない自動車を作ってはならないし、トイレのない家は欠陥品です。活動するためには十分な休息が必要であり、そのためには効果的で実際的な方法が必要なのです。

ここでご紹介するのは東洋医学の知見を簡単な気功法に応用した方法のひとつです。簡単な動作で誰にでもできる内容になっていると思います。是非、快眠できないと悩まれている方にはお試しいただきたいと思います。

部分から全体へ施術することを基本にします。技術的には、このブログの他の場所でも部分的に紹介している基本技術を用いて行います。

ということで部分の施術から行います。足裏の様子を確認してみましょう。足裏の筋肉が固く、薄くなってしまっていませんか。触れた途端に足裏の骨が手に当たってしまうように感じませんか。

足裏は活動する時に身体全体を支える要所です。ここの柔軟性が失われていると接地面のギャップや衝撃をそのまま上部に伝えてしまいます。ここの柔らかさを取り戻しましょう。

足の表裏を両手のひらで包み込むように支えます。そしてできるだけ小さいさくゆっくりと円を描くように手を動かします。足裏の表皮が滑ってさすってしまうのは、動きが大きすぎるからです。

深い呼吸を忘れずに意識を足裏に集めていると、段々と掌の動きに応答するようになって、足裏の表面が動くようになってくるのがわかるはずです。そのまま続けると弾力も戻ってくるはず。

その次に同じ施術を両足首に対して行います。足首は身体の傾きを細かく調整してくれるという重労働をしていますから、それを労うようにケアします。

足裏と同じように両手のひらで包み込んで支えます。しばらく施術していると暖かくなってきますので、それからゆっくりと足首を回すようにして動かしてみます。

疲れ具合がひどければ、ふくらはぎにも同じ処置を施すことで、眠りについてからトイレに行きたくなるという問題も改善するはずです。

足がかなり楽になってきているはずですから、腰のケアをしましょう。足のケアは入浴中に浴槽の中で腰掛けた状態でも可能ですが、腰のケアは布団に横たわって行います。

仰向けに横になった状態で、両膝を立てます。両手は身体を安定させるために両脇に伸ばしておきます。それから両膝を左右に、小さく、ゆっくり揺すります。

これで腰痛の予防にも効果が期待できます。簡単すぎて効果がないという施術ではありません。なぜなら、これはしっかりと東洋医学の基本原理に基づいているからです。

動くことが生命の根本的な力です。動くとは自発的に運動するばかりではなく、環境の変化に対応して動くという概念も含まれていて生命を保つ上で必須の条件になっています。

次に全体のバランスを整えます。目・胸・下腹と順番に両手を当てて、深い呼吸をしながら、手のひらを感じるように意識します。全身がリラックスできれば成功です。

食欲不振は身体の状態を悪化させる!改善方法はここにアプローチ

熱もないし病気というほどでもないが、風邪をひいてるみたいに体調がもう一つ。このような状態になった経験はどなたにもあると思います。

ほとんどの場合は、そのような体調を無視して学校や会社に出かけて普段通りの生活を維持されているでしょう。つまり病は気からという言葉を根拠に気持ちを奮い立たせているわけです。

これをこじらせると思いの外、重い症状に悩む時間が長くなってしまうことは、こんな時にはきれいさっぱり忘れてしまっていますよね。風邪は万病の元という言葉も伝わっています。

現代医学では、風邪はアデノウイルスの感染によって引き起こされている。また思い風邪の症状を引き起こすのはインフルエンザウィルスによるのだと解説されていて、なんとなくそれで納得させられてしまっています。

実際、知り合いの鍼灸師でもそのように理解をしているようです。病証の話をしていると話が段々と噛み合わなくなってきたりして、風邪の原因に対する見方が違っていたという結論に至ったりします。

風邪というのは、病気の分類名だと考えるのが現代医学ですが、東洋医学では症状の分類名なのです。ですから風邪のような症状が出ていれば、風邪だと判断していた過去があります。

理論書を開いてみると、病気の分類名だと考えているとトンチンカンな話が書いてあって筆者の理解が神話世界を生きているファンタジーの解説に見えてきたりします。

症状の分類だと考えるとき、ウイルス性ではない風邪が現実の問題を東洋医学が扱っていたのだとわかります。そしてそれは古典が説明するように肝に宿るということになります。

肝が風邪の症状の原因になっているという意味です。機能低下した肝は心を弱らせて脾を打ちます。心は力を全身にみなぎらせる機能を持っているはずですから、元気が失くなってしまいます。

打たれた脾は様々な症状を現します。まず食欲不振が代表的な症状です。具体的に胃の具合が悪くて脂っこいものは敬遠したり、逆に脂っこいものが欲しくなったり。

さらに、脾は直接的に肺を支える仕事が不十分になり、咳をするようになったり、喉が痛くなったりするかもしれません。これは実際の症状として感覚できるはずです。

熱は出ていないけれど、食欲がないとか異常食欲で、喉が痛かったり声が変になっていたりして咳が出る。でも風邪をひくような覚えはない。そのような症状が現れても、原因不明の体調不良ということで片付けてしまいがちでしょう。

このような症状が東洋医学では風邪と呼ばれており、外部環境の影響によって起こされるグループ、外邪に分類されています。元気を奪いながら回復力を低下させるのが風邪です。

十分な休息と手当をしなければ、身体中の症状をめぐって変化させて深刻化していきます。外邪は悪化して身体の調子を崩して自力で回復できない状態、内邪化します。

これらの陰蔵の障害が表面化してくる事態になると肺の陽蔵である大腸が本来の機能を損なってしまいますので、下痢や便秘という症状を明らかにしてきます。

食欲がなくなってきたという初期の段階で症状を捕まえて、対処する心がけが大切ですから、この段階でのケアが効果的です。まずは休養を取ることとそして、少しだけ経絡のケアを付け加えましょう。

ですから、ケアするのは脾経と胃経を中心に扱う方法によります。食事制限と深い呼吸法によってこの2つの経絡に刺激を与えることで内部を揺する方法を取ります。

脾経の原穴は、足の親指の付け根のところにあります。ここを指で当てて深い呼吸を続けます。これによって脾経の気の取り入れを促進できるのです。

日本人特有の問題なの?肩こりを和らげて予防するための方法

「肩こり」に対応する英語はありません。また中国語にもありませんし、その他の外国語に対応する言葉があるという話を聞いたことがありません。

肩がひきつれて痛むという症状は世界各国のどの人種であれ、経験するようで、その症状を表現するのは可能ですが、ひとつの言葉で表せることはまずないでしょう。

肩こりは日本の文化に特有の言葉です。それだけに肩こりの解消を求める方法もあれこれと考えだされていて、それらを試すのも楽しみになるほどです。

頻繁に紹介されている方法としてストレッチを挙げるのが良いでしょうか。肩こりが運動不足を原因としていると考えて、運動すれば良いだろうという発想で組み立てられている方法です。

しかし、しばしば肩こりは熱を伴っている場合があります。これは炎症を起こしているのですから、うっかりストレッチなどをしてしまうと悪化させてしまいます。

このような誤った処置によって生じる後遺症は悪質なものになるケースが多く、その後何年も祟られかねません。深刻な事態にならないとしても、いわゆる関節の可動域が制限されたり指などの末端に障害を増やす原因ともなります。

逆の場合でも問題があります。つまり肩が冷えているときです。手を当ててみて冷たく感じるときに、ストレッチをすることには問題を感じます。ストレッチは筋肉の伸張運動ですから、最悪の場合は筋肉の断裂を招く恐れがあります。

切れた筋肉繊維の修復は、成長ホルモンの分泌量によって回復に必要な時間が決定されます。つまり歳を取れば取るほど、切れた筋肉は修復されにくいのです。

その後、切れたままの筋肉繊維は熱を生じるようになりますから、さらに扱いにくくなってしまうだけの結果になるでしょう。ストレッチは、簡単なようで実は適用判断が難しく、したがって専門家の知識が必要な技法だと考えられます。

それでは近くに営業しているマッサージ店に出向けば、よい結果を得られるでしょうか。これも少し気を付けなければならないと言えそうです。

マッサージに付き物とされる「ゆり戻し」があります。つまりマッサージの術後に痛みが出ることがあるのです。これはマッサージが単純に悪いと言えない面があります。

マッサージは気持ちよさを優先することを、求めに応じて施術する傾向があるからです。特に高齢者にその傾向が見られます。感覚が鈍くなってしまって、マッサージを気持ちよく感じない場合、より強い刺激を求めるのです。これがいけません。

するとメジャーな方法にはそれぞれ問題があって、気軽にケアできないのではないかということになってしまうのですが、それも無理はありません。肩こりは初期症状ではないからなのです。

中国では伝統的に「上気」という状態を設定しています。簡単にいうと、肩こりに至る前段階の症状です。首のまわりがギクシャクする、眼の奥が熱いといった状態を上気と呼んで、その時点でケアをしているようです。

そもそも肩こりになる原因として、東洋医学的に見れば2つの原因が考えられます。めぐりがつかない詰まりができているか、めぐりの力がないということです。

頸を介して頭と胴体とが大きな気の流れでつながっているのですが、流れる気が多量であるだけ問題を生じやすいといえます。だからこそケアが大切だといえそうです。

それでは、東洋医学的に正しく簡単なケアの方法を紹介しておきましょう。脱力状態で動かすために、支えて小さくゆっくり動かすことが基本です。この時、決して激しくしてはいけません。

しばらく続けて痛みが消えたら、めぐりのツボである手首の親指側に指針して深い呼吸で整えましょう。ゆったりした気分になれば、成功です。

むくみはお肌の曲がり角?正体を見つけてに東洋医学で対処する

美容の大敵である「むくみ」。女性の多くが抱える悩みのようでさまざまな方から相談を受けます。しかし、明らかにむくんでいる女性であっても、まったく気になさらない方もいらっしゃって不思議な気もします。

同様に多くの女性を悩ませる便秘。これも悩みに個人差が非常に大きい。人によっては1週間程度の普通なら意に介さずという方もいらっしゃってびっくり。

むくみの具体的な症状には他にも、生理不順も挙げることができるでしょう。しかし、これも歳のせいだからと片付けてしまわれる女性も多いようですが、不順だけではなく、痛みも当たり前だと思っている方の話を聞くと驚いてしまいます。

自然な排泄に痛みは伴いません。これが東洋医学の結論です。ですから痛みが伴う整理には要注意です。身体が痛みによって不調のメッセージを発信しているのです。

早く気づいてお手入れをしてあげることが、むくみに対処する方法です。身体の巡りの不調が、むくみとして表れてきているといえます。それがお肌の荒れ、むくみ、そして便秘、生理不順などの不快な諸症状なのです。

巡りが悪くなっていると言っても、それが原因ではなく、めぐりの悪さそのものが症状なので、話がややこしくなりがちです。めぐりをつけるポンプが悪いのか、どこかが詰まっているのか、ということですね。

ポンプが故障して巡らないのに、パイプをいくら掃除してもめぐりは改善しないでしょうし、パイプが詰まっているのにポンプの力を強くしてしまうと症状は悪化するかも知れません。

そこで考えるべきなのは症状はどうなのかという、観察です。観察が重要な意味を持つのは、専門家による治療のときも同様で、様態の観察が診断の大きなカギになっています。

とは言っても、難しいことではありません。まず、痛みがないのかそれとも、どこかに痛みがあるのかということ。痛みが意味するのは、どこかの詰まり、めぐりが悪くなっているということ。

そうではなく、単にむくんで見えるだけで具体的な症状がなかったり、あるいはダルさを感じるだけといった場合は、全体的なめぐりを付ける力が不足していることを意味します。

めぐりを付ける力が不足する根本的な原因は、燃料不足と燃焼力の不足ということになります。これは食欲があるかという判断で区別します。食欲がなければ、燃料不足の可能性が高い。

ここまで自己診断を実施して、ケアの方針を決定します。痛みがあれば、詰まっている場所のケア。痛みがなく食欲がなければ、燃料補給のケア。食欲はあるというなら燃焼力のケアという具合になります。

排泄力を高めるという言い方には複数の要素を考えなければなりません。少なくとも前述した3つの要素を考えて、場合によってはいくつかのケアを平行して行います。

まず痛みがどこかにある場合、そこに手を当てて軽く小さく揺すりますが、そのときに深い呼吸を忘れずに行うようにします。生理痛の場合は腰の部分に手を当ててください。顔のむくみで痛みが伴う場合は、慎重に揺するようにします。

痛みがなく食欲もない場合は、燃料補給の力を増進するケアを行います。足の親指の付け根にふくらんだ場所がありますが、その先のくぼんだところに指鍼を当てます。

ここには脾経のツボがあり、消化機能を応援する機能があります。消化力がついてくれば食欲が改善されると期待できます。かなり間接的に感じるかもしれませんが、間接的なほど全体に効果が及んで良い結果をもたらします。

そして痛みがなくて食欲はある場合は、巡らせる力が弱っていると判断します。手の親指の付け根、手首のところに指鍼を施します。これで徐々に改善するはずです。

すぐに試したい!簡単な自家治療で毎日の体調を整える習慣をつくる

自分が自分のケアをするのは当たり前だったはずですよね。でも自分の身体のケアになるとどうにも面倒に感じてしまうのですが、私だけでしょうか?

疲れた身体を回復させるホルモンがあります。成長ホルモンと呼ばれています。このホルモンは夜間の就寝中に多く分泌され身体の傷ついた細胞を修復し、身体を回復させる働きがあります。

名前の通り、若い人に多く分泌され歳を取る毎に分泌量が減少します。一説によると14歳くらいでピークを迎え、25歳を過ぎると分泌量が明確に現象を始めるそうです。

歳を取ると疲れが残って、気持ちに身体がついてこないという感じにはこんな根拠があったのです。身体の加齢変化に対して根性論は通用しません。

なので、25歳を過ぎたら考え方と習慣を改めることで、さらに発達することが可能だというと信用してもらえないかもしれませんが、是非この記事を読んで試していただきたいと思うのです。

大切なのは翌日に疲れを残さないということですが、そのためには一日の活動量が自分の回復力を超えないことでしょう。つまり翌日に疲れが残っていたら、前日は活動しすぎたのだという認識を持つ必要があります。

そして、一日の活動量を最大にする工夫、と回復力を最大限にまで活性する生活習慣が役に立つことでしょう。この生活習慣は簡単な技術の習得を前提にしています。

疲れを取るために必要不可欠なものが休息、つまり睡眠です。ですからゆっくり寝てください。でアドバイスを終える専門家もいます。しかし、疲れが過ぎると眠れなくなっているはずです。

疲れを取るためにも眠りたいのに、眠れないほど疲れてしまっているというのは、考えるよりも深刻な事態です。このような経験をしている人は少なくないのではないでしょうか。

このような事態に対処できるようになるために、身につけたい東洋医学の技法があります。それは呼吸です。だれでも意識しなくてもしているはずの呼吸ですが、よく周囲の人を観察していると呼吸が止まっている人が少なくありませんよ。それはともかく…。

その呼吸を意識することで、いろいろな効果が出るようになってきます。ですから意識して行う呼吸を毎日の習慣にしましょう。

まず、ゆったりと大きく息を吐き出すことから意識します。そして息をたっぷりと吸い込んでお腹に溜めるようにします。これだけですが、これにこれから紹介する指鍼などを合わせて用います。

指鍼は指圧ではありません。指をツボに置いて前述した深い呼吸をするだけです。細くて硬い鍼を皮膚の下まで通すばかりが効果を呼び出す方法ではないのが東洋医学の奥深さでしょうか。

例えば、手の親指の付け根から手首の方へなぞって行くと、手首のシワの辺りに柔らかい部分があります。そこにもう一方の手の指を当てて、深い呼吸をします。3分程度試しましょう。

ここには身体の回復力を活性するのに役立つツボがあります。そこに指を置くことで、表面に通じている気が刺激を受け、内部から深い呼吸によって取り込まれた気がめぐりだすはずです。

コツは、置かれている指が温かい、とか冷たいとかをしっかりと感じれるように、意識を働かせる感覚です。一定の部位を感じようとする意識によって、気の流れが変化します。

さらにお灸は市販品のもので十分な効果が得られるはずです。指をおいた場所にお灸を貼り付けて、火を付けます。その箇所が暖かくなってきたら、すかさず外します。その後、指鍼に切り替えます。

これで3つの技術を紹介できました。これらの技術が基本で、さまざまな症状に応用することができますので、練習のつもりで何度か試してみてくださいね。

どこでも同じなの?日本の東洋医学は多流・玉石混交になっている

ある日、近所のカフェで隣に陣取っていた若者二人。一方がもう片方に、しきりに鍼灸治療の受診を勧めていました。気にしていなかったのですが、声が大きくて内容が聞こえてきたのです。

いわく、良薬口に苦しなどの格言を引用しながら「鍼は痛いほど効くんだ」と説得を試みている様子を聞いていると、どうやら鍼灸院でそのように説明されて、相当痛い治療をされたようです。

可哀想になってきました。彼がかなり乱暴な治療師に巡りあっていたことに気づいていないまま、東洋医学を完全に勘違いして苦行のような治療をしているからです。

鍼灸治療は言わずと知れた、東洋医学のひとつの実践です。日本の伝統医療は漢方薬を主に用いる内科と鍼灸を用いる外科とに分けられています。漢方薬の方が鍼灸治療より多少有名でしょうか。

鍼灸と漢方薬とをどのように使い分けるのかというと、そこには明確な区別はありませんが、一般的には鍼灸は症状を元に治療をし、漢方は体質を元に治療するといった傾向があるようです。

で、その鍼灸治療に焦点を当ててみると、日本の鍼灸治療は多種の考え方をする治療師がさまざまに開業しているといえます。知り合いの鍼灸師に尋ねたとき、怖くて知らない鍼灸師に頼めないと言っていた程です。

治療の狙いそのものから違っているのです。肩こりやストレスによる不調が主な治療対象になっていますが、伝統的には症状の改善が鍼灸治療のゴールではありません。

身体を巡る気と血が滞りなければ、不調は感じないはずです。不調が出るのはどこかで気血が滞っているか、巡らせる力がなくなっていることが原因になっています。

専門家は滞りを起こさせる原因を「湿」と、また巡らせる力の不足を「虚」と呼んで説明することが多いようですが、湿はどこで滞っているのかが問題であり、虚はさらに原因を追求する必要があるという判断になるはずです。

症状の消失だけが問題ではなく、その症状の発生原因を突き止める診断が伝統技術的に極めて大きな要素として扱われています。そして狙いすまして一本の鍼を当てるのが伝統技術というものなのです。

しかし、中医学の強い影響のもと、現代医学と提携して進歩しようとしているグループが主流になっています。もちろん、すべてが悪いはずはありません。症状の消失に重点をおいた技法の集積は大きな成果を提示しています。

さらに西洋医学との連携によって日本の保険制度との連携も整備されつつあり、一部の治療は保険が適用されるという場合も少なくありません。これは治療を受ける側の経済的負担を軽減する上で大きな効果があります。

ただ問題がないわけではありません。特に治療を量で把握して保険適用しなければならない問題から、不必要な治療を増やしてしまう誘惑があったり、保険支払い請求の手続きの問題から資本力がない治療院は蚊帳の外になっています。

これらの問題を解決できれば、さらに鍼灸治療や漢方薬治療の潜在しているメリットを引き出すことが可能だと思われますが、今後の問題として残されているままだというのが現実です。

保険制度の問題、西洋医学との連携の問題などが伝統技術の継承に大きな影を落としているといえそうです。その結果、才能と熱意ある治療師たちが伝統の継承から離れてしまうことも起こっています。

それでも指摘しなければならない事実があります。痛い鍼で良ければ素人に打たせればよいのです。痛い鍼で良ければ鍼の置き方を勉強する必要はありません。

伝統の名人芸を受け継ぐ鍼灸師の鍼は身体に入ったことも感じません。そして症状が軽くなり、体質が変化することで鍼の効果を実感できるものです。

どうなっている?西洋医学との融和を目指している現代中国医学

日本には現在でも漢方医学がよく保存されいます。街角に営業している漢方薬店、見かける鍼灸治療院などを始め、有名大学でも漢方薬を積極的に研究しており、その成果を疾病治療に取り込もうという活動も見られます。

しかし、同時にさまざまな考え方が日本における東洋医学には見出されます。そしてうっかりそれらの治療に関わると自分が期待していたものとはまったく違うものであることにがっかりすることもあるわけです。

現代の中国が本場だと思われる中医学の権威は東洋医学の中でも取り沙汰される力があります。医学系大学は中国との連携を保ちながら研究しているケースが多いことによります。

ですからまず、利用者としては中医学の歴史を簡単に知っておくことが有益でしょう。現代の中医学は中華人民共和国が成立した以降に整理されて再構成されている東洋医学です。

その間、大きな事件が中華人民共和国を襲いました。文化大革命です。文化革命に位置するこの革命は極めて徹底的に伝統的な価値観を排除しました。

親子の心情ですら破壊したといいますから、その激しさを想像するのは簡単でしょう。伝統の技術を伝えていた多くの専門家は身を隠すか、自殺するのでなければ、共産党軍に連行されて拷問や処刑の対象になったと伝えられています。

このときに伝統である中国医学は徹底的に迫害され排除されたといいます。現在でも医学の説明概念に気という言葉が使用できないそうです。

上手く身を隠して生き残った伝統の伝承者はわずかに過ぎません。もっとも、わずかといってもまったくゼロではないので、現代においても中国に出かけて排除され尽くされなかった技術を学ぶ機会は貴重です。

つまり一旦完全に中国では伝統の中国医学が失くなったと考えるべきでしょう。その後、中国医学を再構成するために西洋医学の概念を大幅に取り込んできたと考えられます。

それに対して、中国伝来が日本で発展した中国医学を漢方医学と呼べるでしょう。中国と同様に日本でも西洋医学への対応に苦労した歴史がありますが、日本では完全に排除しようという動きがありませんでした。

しかし、日本の漢方医学でも西洋に対抗しうる枠組みを求めていたことは同じです。そして中国が本場であるという権威に対する畏怖は日本では相当強く、中医学と協力しあうという形態になっています。

その結果、伝統的な漢方医学的な枠組みで治療を行う人は極めて数が少なくなっています。中医学と連携しながら漢方治療をする専門家が多数派を占めているのです。

ただし、現代的に改定された中国医学、つまり中医学がまったく正しいかは意見が分かれて当然でしょう。これは考え方によります。西洋的な用語が私たちにわかりやすいのは大きなメリットです。

また即効性を求める思想に支えられた実験によって効果が確認されようとする試みも大変有益でしょう。また、この試みによって症状が改善されるのは歓迎できます。

しかし、西洋の医学で理論づけできないために棄却されてしまう成果も少なくありません。また症状が消失することと、病気が消失することは同じではありません。麻酔薬を投与すればほぼ確実に症状は感じられなくなりますが、病気は治りませんよね。

そもそも現代中国は物質を主とする考え方が強すぎるのにも問題を感じます。それを人間の生命に当てはめて問題を感じない人はいないでしょう。

人間の身体は単なる物質の集合体ではない、というところから東洋思想は始まっていたはずなのです。物質が集まり、自ら運動を開始して、陰陽を形成し生命の営みを保っているという気の理論を使えないのであれば、それは東洋医学と同じなのでしょうか。