日本人特有の問題なの?肩こりを和らげて予防するための方法

「肩こり」に対応する英語はありません。また中国語にもありませんし、その他の外国語に対応する言葉があるという話を聞いたことがありません。

肩がひきつれて痛むという症状は世界各国のどの人種であれ、経験するようで、その症状を表現するのは可能ですが、ひとつの言葉で表せることはまずないでしょう。

肩こりは日本の文化に特有の言葉です。それだけに肩こりの解消を求める方法もあれこれと考えだされていて、それらを試すのも楽しみになるほどです。

頻繁に紹介されている方法としてストレッチを挙げるのが良いでしょうか。肩こりが運動不足を原因としていると考えて、運動すれば良いだろうという発想で組み立てられている方法です。

しかし、しばしば肩こりは熱を伴っている場合があります。これは炎症を起こしているのですから、うっかりストレッチなどをしてしまうと悪化させてしまいます。

このような誤った処置によって生じる後遺症は悪質なものになるケースが多く、その後何年も祟られかねません。深刻な事態にならないとしても、いわゆる関節の可動域が制限されたり指などの末端に障害を増やす原因ともなります。

逆の場合でも問題があります。つまり肩が冷えているときです。手を当ててみて冷たく感じるときに、ストレッチをすることには問題を感じます。ストレッチは筋肉の伸張運動ですから、最悪の場合は筋肉の断裂を招く恐れがあります。

切れた筋肉繊維の修復は、成長ホルモンの分泌量によって回復に必要な時間が決定されます。つまり歳を取れば取るほど、切れた筋肉は修復されにくいのです。

その後、切れたままの筋肉繊維は熱を生じるようになりますから、さらに扱いにくくなってしまうだけの結果になるでしょう。ストレッチは、簡単なようで実は適用判断が難しく、したがって専門家の知識が必要な技法だと考えられます。

それでは近くに営業しているマッサージ店に出向けば、よい結果を得られるでしょうか。これも少し気を付けなければならないと言えそうです。

マッサージに付き物とされる「ゆり戻し」があります。つまりマッサージの術後に痛みが出ることがあるのです。これはマッサージが単純に悪いと言えない面があります。

マッサージは気持ちよさを優先することを、求めに応じて施術する傾向があるからです。特に高齢者にその傾向が見られます。感覚が鈍くなってしまって、マッサージを気持ちよく感じない場合、より強い刺激を求めるのです。これがいけません。

するとメジャーな方法にはそれぞれ問題があって、気軽にケアできないのではないかということになってしまうのですが、それも無理はありません。肩こりは初期症状ではないからなのです。

中国では伝統的に「上気」という状態を設定しています。簡単にいうと、肩こりに至る前段階の症状です。首のまわりがギクシャクする、眼の奥が熱いといった状態を上気と呼んで、その時点でケアをしているようです。

そもそも肩こりになる原因として、東洋医学的に見れば2つの原因が考えられます。めぐりがつかない詰まりができているか、めぐりの力がないということです。

頸を介して頭と胴体とが大きな気の流れでつながっているのですが、流れる気が多量であるだけ問題を生じやすいといえます。だからこそケアが大切だといえそうです。

それでは、東洋医学的に正しく簡単なケアの方法を紹介しておきましょう。脱力状態で動かすために、支えて小さくゆっくり動かすことが基本です。この時、決して激しくしてはいけません。

しばらく続けて痛みが消えたら、めぐりのツボである手首の親指側に指針して深い呼吸で整えましょう。ゆったりした気分になれば、成功です。