とりあえずここから始めよう!陰経のスタート−肺経で活性化する

今回は東洋医学の知識を応用した実践的なテクニックを紹介しましょう。さまざまな方法がありますが、それらの中でもっとも簡単で手軽なものをご紹介します。

正経12経の中に肺経という経絡があります。もちろん肺蔵を中心にして働く呼吸系の経絡です。病は気からという言い習わしもあるように肺経は経絡全体に関わっています。

具体的な方法は次の通りです。まず緩やかに身体をまっすぐに立てます。身体をまっすぐに立てるというのは、腰骨と両肩の位置がまっすぐになるようにすれば、だいたいできています。

緩やかになるように意識しましょう。緊張している場所がないか、頭から足の裏まで順番にチェックします。緊張していると感じる場所は必ず余分な緊張を強いられています。

数日間繰り返すことで慣れてきて、緊張を解すようにイメージすることで緊張が緩むようになってきます。ここまでが全身に気を巡らせるための準備段階になります。

気になる人もいますが、座っていても、横になっていても構いません。身体がまっすぐに伸びやかになっていれば、当初の目標地点にたどり着いた状態です。

両手の掌を腰の少し上側、おへその真裏の両側に当てます。自分の掌である必要はありませんから、誰かに手伝ってもらっても良いかもしれません。

掌が当たっている部位で、つまり身体側で、掌を感じるように意識を集めます。一種の気功に分類できますが、掌から気のエネルギーが照射されてなどとは言いませんから、安心してください。

掌が当たっている部位に意識を集めて、掌の当たっている圧感や暖かさを感じることが大切なのです。古伝の中国気功の教えるところによれば、意識の集まっている部位に気が集まるのです。

自分の気によって自分のケアをすることが気功の基本になります。生きている限り、自分の中には気があります。そのことは生理学的にも説明されることなのです。

骨折したとき、骨折した部位の造血作用が亢進する現象がありますが、痛みがまったくない場合、造血作用は抑制されてしまいます。通常はたとえ痛み止めを服用していても、ずっとむずむずした感じが残るはずなのです。

このムズムズ感は痛みの小さいものですから、この痛みによって意識が自然と骨折している部位に集まります。その意識に導かれて気が部位に集まり、造血作用が亢進すると考えるのです。

また、ある箇所に力を込めるとそこに血液が集まり、酸素の代謝が増進することがある種の装置によって計測できます。これも同様に考えられます。

意識しなければ、一定の場所に力を作ることができません。つまり意識して、力を入れようとすることで、そこに気が集まり、酸素代謝が増加するのだと考えるわけです。

意識によって、造血作用や酸素代謝が増える働きが誰にも備わっているという考え方が成立しています。原初的な気功はこのような考え方に成り立っているもので、単なる気休めではありません。

そして緩んだ体位(立位、座位、臥位のいずれか)を作り、手を腰に当てたまま、ゆっくり息を吐き出し、そしてゆっくりと息を吸い込みます。

しばらくすると掌の当たっている部位が暖かく感じられるようになるはずです。こうなればしめたもの。身体の巡りの要である水行が活性化しているのです。

この感覚が出てきたら、緩やかに小さい動きが必要です。ちょうどパイプに何かが詰まっている時のように、中の詰まったものを揺り動かすようなふうに身体を揺することが効果的なのです。是非お試しください。